地方議会や議員に対する市民の目線は厳しいものがある一方で、地域をよりよくするために議会として活動を活発にしたり、議会改革を進める議会も増えてきました。
早稲田大学マニフェスト研究所では、都道府県や市区町村を含めた2017年度「議会改革度調査」ランキングTOP300を6月7日に公開しました。
※なお、自治体規模別ランキングは8日以降、都道府県内ランキングは11日より順次公開予定。
議会改革度調査とは
本調査では以下の2つを目的に、2010年度から毎年調査をしています。今年で8回目の調査となります。
- 全国の議会改革がどのような状況・傾向にあるか、確認する指標として活用する
- 議会自身が改革度を数値で把握することで自己評価や改善をし、善い政治を競う『善政競争(ぜんせいきょうそう)』を促す
2018 年2月下旬にメールや郵送で調査依頼を都道府県・市区町村といった全地方議会に送付し、合計 1,318議会にご回答いただきました(回答率74%)。
この調査では、「議会が果たすべき役割」として以下の3つの柱をあげ、改革度合を数値化し、ランキング化しています。
- 情報共有(本会議などの議事録や交際費・視察結果の公開具合と検証)
- 住民参加(傍聴のしやすさ、議会報告会などの実施、住民意見の聴取)
- 議会機能強化(議会本来の権限・能力を発揮するための機能強化状況)
※調査の概要、調査回答の受領状況、分析の観点の詳細はこちら
ランキングのTOP3は?
調査結果から、改革の取り組み度を表す順位は「1位 北海道芽室町議会、2位 滋賀県大津市議会、3位 大阪府議会」となり、芽室町議会は4年連続で1位に輝きました。
大阪府議会は前年度6位から3位に順位をあげ、初のTOP3にランクインしました。
【1位】北海道芽室町議会(前年度1位)
情報共有 08位/住民参加 01位/機能強化 01位
【2位】滋賀県大津市議会(前年度2位)
情報共有 11位/住民参加 09位/機能強化 02位
【3位】大阪府議会 (前年度6位)
情報共有 01位/住民参加 15位/機能強化 09位
上位議会の特徴
3議会に共通することは、「議会基本条例を検証し、PDCAサイクルを実践。ICT活用で改革を促進していること」です。
各自での特徴は以下のようなものでした。
【芽室町議会】
・多様な世代の住民参加の促進を掲げ、地域の社会教育を進める『未来フォーラム』を開催
【大津市議会】
・外部知見導入による政策立案機能の強化と、実行計画『ミッションロードマップ』の推進
【大阪府議会】
・議会の出前授業の対象を府立高校のほか、聴覚支援学校、私立高校、専門学校に拡大
▼全体ランキングTOP20
1位 北海道 芽室町議会 ( 1位)
2位 滋賀県 大津市議会 ( 2位)
3位 大阪府議会 ( 6位)
4位 石川県 加賀市議会 ( 4位)
5位 三重県 四日市市議会 ( 3位)
6位 群馬県 桐生市議会 (17位)
7位 岐阜県 可児市議会 (19位)
8位 福島県 会津若松市議会 ( 5位)
9位 堺市議会 ( 7位)
10位 東京都 町田市議会 (16位)
11位 新潟県 上越市議会 ( 9位)
12位 神奈川県 茅ヶ崎市議会 (11位)
13位 京都府 福知山市議会 (20位)
14位 兵庫県議会 (12位)
15位 兵庫県 西脇市議会 (14位)
16位 鳥取県議会 (24位)
17位 茨城県 取手市議会 (18位)
18位 愛知県 岩倉市議会 (26位)
19位 三重県 鳥羽市議会 ( 8位)
20位 栃木県 那須塩原市議会 (15位)
2017年度調査の全体傾向・ポイント
順位の変動以外にも、みるべきポイントはたくさんあります。今回の調査から、全体的な傾向をみてみましょう。
- 上位陣が体系的な取り組みを導入しているため、TOP30の順位変動が少ない
- 「400位以上アップ」などTOP300以内で議会改革を飛躍させた議会が複数ある
- 「政活費の領収書ネット公開」など注目されるテーマで取り組みが進んだ
- 「議員のなり手不足解消」「女性が働きやすい環境づくり」「多様な人材確保」が増えつつある
「2.」に関連しますが、大阪市会は前年度607位からジャンプアップで42位に入り、岡山県真庭市議会や長野県喬木村議会も大幅に順位を上げるなど、議会改革の歩みを加速させた議会も多くありました。
次回以降の記事では、全体傾向やポイントの詳細、注目テーマについて書いていきたいと思います。
≫当所のウェブサイト上にはTOP300まで掲載していますのでより詳しい情報はウェブサイトをご覧ください。
※なお、「自治体規模別ランキング」は8日、「都道府県内ランキング」は11日より順次公開予定です。
※告知
7月11日~12日 早稲田大学で開催!
「全国地方議会サミット2018議会のチカラで日本創生」
1,000人の議員・事務局が一堂に会し「地方創生を地方議会がリードする」ための場面転換へ。野田総務相、片山元総務相、学識・有識者、先進議会等が登壇。
【日時】7月11日(水) 13:00~17:30/12日(木) 09:30~16:00
【場所】早稲田大学大隈記念大講堂
【対象】議会議員、議会事務局職員、一般 総計1,000名
【主催】ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟、マニフェスト大賞実行委員会 【共催】早稲田大学マニフェスト研究所
≫詳細はローカルマニフェスト推進地方議員連盟のページをご覧ください